第10回「潮の香りと雄大な景勝地真鶴」

pheader156遠遊日:2015年6月24日(水)

 

梅雨の真只中にもかかわらず快晴で夏を思わせる太陽が顔をのぞかせた素晴らしい天気に恵まれました。豊かな自然に恵まれた景勝地を歩こうと8名が真鶴駅に集まりました。

当遠遊会はやや長い距離を歩くばかりでなく、いろいろと工夫を凝らしてご当地の隠れた地理、歴史、そして発見、面白さ、地場の食事などを探求しております。
真鶴と言えば半島に自然林が沢山あって突端には三ツ石という名勝地があるとのイメージですが、今日は半島の歴史ロマンも訪ねることから始めました。
真鶴半島は箱根火山の南東に位置し、切り立った海岸を持つ溶岩台地です。
昔から良質の石(小松石)が産出されました。古くは鎌倉時代からとも言われ、江戸城の城石に多用されたのは有名です。西念寺には石の切り出しを指揮した「黒田長政の供養の碑」があります。部下の小河綾部正良が長政の13回忌に建てたもので礎石部分は当時のものと言われています。更に龍門寺の山門脇には江戸時代初期(1654年)に造立された「五層塔」があります。高さ3m近いこの塔は一つの石から作られて当時の彫刻技術水準の高さを示しており、その右には「頌徳碑」があり宮石工三津木徳兵衛の功績を称えたもので当時の石材業や石材技術を示す貴重な資料となっています。また山門入口には見上げるばかりの「宝篋印塔」があり明和4年(1767年)13世鳳州了和和尚が建立したそうです。人々の協力で建てられました。

海岸の方に進むと「如来寺跡」に出ます。1620年に建てられたと言われる如来寺跡は暗くて古い石窟で入口には閻魔像があり、奥には石造の十王像や菩薩形座像(聖観音像)、地蔵菩薩像などが安置されていて、外からは岩肌を刳りぬいて作られた様子が覗えました。

直ぐに「岩海水浴場」に出ました。砂浜の少ない真鶴半島で唯一の人気の海水浴場ですが今はわずかな人が釣りをしたり、散歩したりして閑散としていました。夏には大変賑わう所だそうですがここは石橋山の戦いで敗れた源頼朝が治承4年(1180年)8月28日に房州に向けて船出した浜と伝えられています。

しばしここで休息、べた凪の穏やかな海をのんびりと眺め、疲労回復です。
小休止の後今度は山越えで「児子神社」を経て民家の並ぶ住宅地の一角に、「石工先祖の碑」を見つけました。鎌倉時代に石材業を始めた土屋格衛や江戸城を築く為の採石にあたった黒田長政支配下の功績をたたえ江戸時代の末期に再建されたものです。

これで歴史ロマンのコースは終りです。これから半島周遊コ-スの始まりです。
20mにも及ぶ切り立った海岸を持つ半島なだけに少し歩くのにもアップダウンはつきものです。役場脇を通って坂道を上ると最高点消防署に出ます。ここから下ると程なく海岸通りです。今は浸食や宅地開発の為国道沿いになっていますが昔は絶壁の続く海岸線だった様です。右手に「品川台場礎石の碑」が見えてきます。幕末の東京湾の台場(砲台)に多くの真鶴産の石が使われたと言われています。今は礎石だけが残されています。すぐ横に「しどどの窟」があります。源頼朝が治承4年(1180年)8月に石橋山の戦いに敗れた時この窟屋に隠れ難を逃れた所でかっては高さ2m、深さ10m以上の大きさがあり、波打ち寄せる窟屋だった様です。今はその面影もありませんがそばに昔の写真が飾ってあり昔を偲ばせています。
ここまでで2時間、丁度お昼になりましたので食堂を探します。生憎水曜日、真鶴地区は休みが多いそうで目当ての魚市場の食堂はお休みでした。そこで市場脇にある食堂にと言ってもどう見ても居酒屋でした。表では若者4人が魚料理を肴に一杯やってました。
ウォーキング途中に昼間から飲めないし、一同やや心配な気持ちで店に入りました。が、ところがこの店が大当り、金目の煮付け・海鮮ちらし・刺身とそれぞれ違うメニューでしたがどれも美味、その上ボリューム満点大満足でした。女将さんによれば主人が漁師だから新鮮で良いものが安く出せるんだとか、また来たい店でした。満足・満腹、至極の一時でした。
さて食後は岬に向けて歩きます。
歩き始めてすぐに「貴船神社」に到着しました。門前に立って足がすくみます。高くて長い階段です。何段あるか数えて登っている会員もいましたが100段以上はあった様です。

貴船神社の歴史は古く、寛平元年(889年)の創建と言われています。毎年7月27日、28日に行われる祭礼は豪壮華麗な船祭りで「日本三船祭」の一つとして有名で、同時に奉納される鹿島祭りとともに国の重要無形文化財に指定されています。

参拝を終り海岸線の整備された遊歩道を進み、琴ケ浜を過ぎるといよいよ登りになります。ここから「御林と魚付保安林」と呼ばれる照葉樹林の林に入ります。

徳川時代、小田原藩が15万本の松苗を植林し、明治維新後は皇室御料林となり、戦後真鶴町に払い下げられ、魚付き林として真鶴の産業を支える役割を果たし ています。林道遊歩道を抜けてケープ真鶴に向かいます。快晴のこの日はケープ真鶴からは波穏やかな相模湾に伊豆半島の小室山・大室山を望み、初島が浮かぶ 眼下には「三ツ石」の岩礁がくっきりと見渡せました。

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雄大なパノラマに一同感嘆し、集合写真を撮りました。アイスクリームが美味い一休みでした。

三ツ石を間近に見ることが出来る海岸に下りてここでもパチリ。間近に見る三ツ石はさすがに迫力がありました。干潮時には歩いて渡られる様ですが今回は皆さん遠慮しました。
海岸から続く「潮騒遊歩道」を波の音を聞き、海の香りを感じながらの散歩です。
「番場浦遊歩道」「森林浴遊歩道」では落ち葉を踏みしめ、オゾンを吸いながらの散歩です。

保安林を抜けると「中川一政美術館」へ着きます。今日は休館日の為見学は無し、そのまま「お林展望公園」へ。公園入口に「西部警察」で使った消防車が飾ってありました。
石原プロダクションからの寄贈だそうですが町ではどう使っているのでしょうか?
公園は相模湾を一望し、今来た三ツ石海岸や初島、遠く三浦半島が望めました。
また公園には立派なパークゴルフ場があり1組の年輩組がプレーを楽しんでいました。
これで今回の真鶴半島のウォーキングは終りです。帰りはバスで真鶴駅に向かいました。
5時間余りかけたウォーキングでしたがバスではなんと15分余りです。お疲れ様でした。
(記:有田知義   写真:石橋司郎)