北海道のゴルフ
1654 大澤昭一郎
数年前から少しずつ身辺整理を始めていますが、札幌勤務時代に書いたゴルフに関する手書き原稿が見つかり、Wordを使ってパソコンに入力してみました。
『北海道のゴルフ』と『日本最北端のゴルフ場へ行く』の2点です。
北海道では冬場は雪に覆われるために、ゴルフ好きはインドアの練習場に通うが、ゴルフシーズンが近づくと、打ち放しの練習場は、朝から一杯になるほど込み合う。
春、札幌近郊のゴルフ場は、雪解けを待って、例年4月中旬から下旬にかけてオープンし、5月のゴールデンウイークは、手綱を絞られていた競争馬が一斉に走り出すかのように、どのゴルフ場も予約で満杯になる。フェアウエイの芝生の緑が美しく、冬の間、雪の下にあったとは思えないほどだ。
芝生は、雪の下でも地熱によって、土と雪の接する部分にかすかな空間が生じ、育成を続けるといわれている。近くの山々はまだ雪に覆われている。しかしコース内では木々の下やラフにはまだ雪が残っているが、冬の間、枯れ木を思わせたエゾ松やトドマツの新芽が吹き出し、緑が目にまばゆいほどだ。雪解け後間もないこともあって、所々の芝生が湿っていて、ボールには融雪剤が黒い斑点となってへばりつく。
ゴルフ場へは自家用車で出かける。クラブバスはあっても、キャディー専用の送迎用でゴルファーに対する送迎のサービスはない。北海道は自家用車の普及率が高く、その必要性がないのかも知れない。自宅から近い所では10分、遠くても30分という東京では考えられない便利さだ。そんな状況もあってか、どのゴルフ場も広い駐車場を持っている。その広い駐車場が5月の連休時には、立錐の余地がない程、ゴルファーが押し掛ける。
ひと昔前はメンバーになる必要もない程、一部の名門コースを除き、スタートが取りやすかったらしいが、昭和59年頃からゴルフ人口が増え続け、メンバーでないとプレーがしにくくなり始めた。これはススキノの繁華街が不景気の為、飲み代が上がり、かえって客をゴルフに転向させたともいえるらしい。そしてその傾向は益々顕著となり、さしものススキノも、弱小のスナックの代替わりが激しくなり、61年には大函キャバレー“みかど”が倒産に追い込まれる程の状況に陥った。企業の交際費の削減が、もろにさしものススキノを直撃した形になった。
そんな状況で、メンバーといえども、早く予約しないとオープン時にティーグラウンドに立てないことになる。
北海道のゴルフ場は、東京などと違って、アウト終了後に食事休憩をとることなく、そのまま続けてインに入る。従って途中の休憩所で軽食を取れるようになっている。おにぎり・そば・おでん・大福といったものが用意されていて、プレーヤーはそれぞれ好きな物を食べる。但しスタートの遅い組は、日によって売り切れもあり、何も腹に入れることができない人も出てくる。北海道といえば、すぐラーメンを思い浮かべるであろうが、住んでみると、意外にも日本そばの店が多いのに気づく。あまり知られていないが、生産量では長野県より多いのだ。
プレーに要する時間は、4時間30分から5時間位だ。家が近いので、終了後そのまま帰って家で風呂に入る者もいる。午後からプレーしても1ラウンドをプレーできるので、土曜日など、午後からの方が混む程だ。それでも風呂好きな人はゆっくりと体を温めて、風呂上がりに一杯のビールか、搾りたての新鮮なミルクをジョッキで愉しんでいる。
ゴルフ場は概して距離が長くアップダウンの少なくゆったりとしたレイアウトが多く、さすが広大な大地を有する北海道ならではの醍醐味だ。芝生はフェアウエイもベントで、いつも青々としているのが特徴だ。アイアンで打ち込むと気持ちの良いようにターフが取れるが、コースに申し訳ないような気持になる。ボールが沈んでいる感じなのに、不思議にもフェアウッドが使いやすい。
会員権業者の相場は、手数料込みで59年から61年にかけて、ほぼ倍に上昇した。
クラブ競技は予約制で、前日スタート時間の確認を取り、コンペ当日は30分から1時間前に到着する。スタートホールの打順は、ハンディ順で、アテストする人もきちっと決められている。賞品は10位までの入賞者である。
北海道は夜明けが早く日没も遅い。そんな訳で早朝ゴルフは4時からでワンラウンドして会社に出社する人もいる。昔、室蘭に月夜に海岸に白いシーツを敷いて練習した人もいたという。
プライベートのコンペに加え、取引先のコンペに声をかけられることも多い。ゴルフシーズンの終わりは早く、例年だと、11月3日の文化の日ごろが終わりの時期で、クラブ競技のツームストーンは10月上旬が一般的だ。私がメンバーになっている札幌芙蓉カントリーのツームストーンは、グリーンに工夫が施されていて、バケツ大に切られたカップのあるホールがあったり、同一グリーンに3本のピンが立っていて、どのカップに入れてもいいホールがあったり、何とも遊び心にあふれた破天荒で楽しいゲームになっていた。