憤怒の切り株

四季酩酊 第73回

酒坊

JR八高線は長閑だ。八王子と高崎を結ぶ。私の利用する駅は、八王子駅の二つ先だが、引っ越す数年前には駅前に秩父セメント(現:太平洋セメント)の大きな包装所があって輸送口しかなかった。

山を切り崩し住宅街が形成され、家を買った時には橋上駅舎になり南口もあった。2001年当時の駅の一日の利用者は1687名で、2014年には3059名である。

テレビ東京の「孤独のグルメ」の番組で俳優の松重豊が中華料理屋を探しに駅に降り立って呟いた言葉は『小宮。これが駅前。・・・・何もなし』だった。

八高線は4両編成で全路単線を走る。電車のドアの開閉は手動だから、ホームでぼけっと立っているとえらい事になる。ホームに取り残されてしまう。7時のラッシュアワーには5本もあるが、10時台には憐れ、1時間に1本しか走らない。

春うらら八高線はまだ来ない  酒坊

長閑な駅で、駅員がいるのは朝の7時から夜の7時までで、後は無人駅である。遅くDSC01805に改札当たりを見ると切符が散乱している。悪質な切符もある。自動改札ではあるが、開放式で開閉式ではない。駅員が居ても(駅員は定年後の嘱託員)素通りする輩もいる。

梅の木は駅の北にも南にもたくさんあったが造成地へと伐られた。桜の古木は南口の周りにあって、通勤通学の心を癒してくれた。犬の散歩の途中でも桜の花が咲いていたので、駅の桜も満開かなと思っていたら、ホームに花びらを降らせる古木がなかった。伐られた木の中央に火炎を立てて憤る顔があった。

咲く使命奪われて憤怒の桜   酒坊