日本酒ベスト10

四季酩酊 第101回

酒坊

最初にお断りするがこれは偏見である。日本酒の種類は多岐に亘る。例えば、本醸造系と純米系に分かれ、精米の度合いによって本醸造や大吟醸であり、火入れの可否で更に分かれる。古々酒、秘蔵酒となるとキリがない。銘柄が同じでも味が違うのである。合成酒、二級特級といった昔が懐かしい。

そういう訳で「ベスト10」は私の舌で発表させていただきます。
                ※ 画像はクリックで大きくなり全体を見ることができます

1位 久保田翠壽(くぼたすいじゅ・新潟)
久保田には安いものから順に、百壽・千壽・紅壽・碧壽・翠壽・萬壽とある。長岡に行った時に翠壽を求めた。米は5百万石、アルコール度数は14度で日本酒度は+4の辛口である。翠壽は加熱殺菌をしていない生酒で、繊細な口当たりに華やかな香りに720mlを一晩で空けた。

2位 御代栄(みよさかえ・滋賀)
大阪勤務で滋賀県の仕事で見つけた酒だ。何種類か呑んだが「垂れ口 しぼったまま一番酒」が口に合った。アルコール18度以上19度未満の強い酒である。

3位 田酒(でんしゅ・青森)
ボウリング工事の人と呑んだ記憶は忘れない。鬼籍に入られたが時々思い出す。山田錦の米を引き立てて上品な酒だ。アルコール度数、日本酒度は普通である。

4位 飛露喜(ひろき・福島)
普通に違和感もなく五臓六腑に染み渡る。句の「肝臓に会って一献ささげたい」(大木俊秀)を思い出すありがたい酒だ。特別純米で1万円はそうは呑めない。

5位 黒龍(こくりゅう・福井)
福井の居酒屋で呑んだ。白山山系の雪解け水を仕込み水に使っているからか、しなやかな口当たりだった。高い酒なので本醸造しか買えない。今は4番人気である。

6位 三千盛(みちさかり・岐阜)
作家の立原正秋が愛してやまない酒である。30代の半ば、これしか呑まなかった。日本酒度+10の超辛口である。超辛口でありながら切れ味鋭い酒だ。ちなみに+6.0以上は大辛口、-6.0以上が大甘口である。

7位 南部美人(なんぶびじん・岩手)
妻と行った八王子の居酒屋で呑んだ。災害復興で東北の酒を進めていた。南部美人は中々のものだ。辛口もいいが、甘口もいい。

8位 菊水(きくすい・新潟)
菊水酒造の「ふなぐち 菊水 一番しぼり(生原酒)」と「にごり 五郎八」は冬限定のご愛用の酒だ。アルコール度数が高い。前者が19度で後者が21度の強者だ。甘ったるい酒だが酔うには丁度良い。いつもお世話になっているので1位にしたいところだ。

9位 やたがらす(奈良)
吉野の山に千本桜を見に行った時に呑んだ。純米酒でアルコールは14度以上15度未満   の普通だが、山桜を眺めての酒に印象が深いのかも知れない。

10位 七賢(しちけん・山梨)
白洲の伏流水と地元の米に拘った酒である。300年の蔵の歴史は伊達じゃない。ほんのりとした甘味、酸味、苦みが存在している。余韻は短くスッキリとした味わいである。

※1 人気を二分するのは、「獺祭」(だっさい・山口)と「14代」(じゅうよんだい・山形)である。獺祭は普通酒だったのか期待外れだった。焼酎の14代は呑んだことがある。琥珀色していてブランデーのような豊潤さがあった。日本酒は1800mlで15000もする。それでもすぐに売り切れる。今際の時には呑みたいものだ。
※2 八海山(はっかいさん・新潟)
いつ呑んでも裏切らない。八海山、久保田に限らず新潟の酒はどれも裏切らない。
※3 多摩地区には「千代鶴」「多満自慢」「澤乃井」「月(つきまる)」がある。燗なら「多満自慢」冷やなら「澤乃井」と決めている。好き勝手にランク付けをしたが、有名な酒が必ずしも旨いとは限らない。久保田の百壽・千壽を買うなら地元の多満自慢の方が安価で旨い。全国の日本酒の並んでいる酒屋は好きだ。値段が手頃で未経験の酒を呑み、大当たりした時の嬉しさは格別である。

百薬の長を信じて今日も呑む  酒坊

 

「日本酒ベスト10」への4件のフィードバック

  1. 中村 さん
    ありがとうございます。
    木曽路に旅をしたときにそのものずばりの「木曽路」(木曽郡木祖村・湯川酒造)を買って宅急便で送らせたことがあります。旨い酒との印象はあります。
    木曽には有名な酒があります。「七賢」と最後まで悩みました。木曽郡木曽福島の七笑酒造の「七笑」です。よく呑みました。
    木曽郡大桑村の西尾酒造の「木曽のかけはし・生原酒しぼりたて」も昔愛飲しました。
    日本は米と水の国だけあって、どこにでも銘酒はあります。
    本当にうれしいことですね。
    藤村のついでですが山梨に「周五郎」という赤ワインがあります。安価なワインの出回っている今、多少値が張りますが、豊潤で私好みの味です。
    止まりませんので、この辺で・・・。

  2. 私の郷里に「夜明け前」(小野酒造)という日本酒があります。峠を越えた木曽出身の文豪、島崎藤村の作品名にちなんでおり、遺族の了承を得て命名されたようです。下戸なので、ある酒好きのOBから地元に美味い酒があるじゃないか、と教えられるまで知りませんでした。知っても所詮下戸、未だに美味いかどうかさっぱりわからず、藤村の名でなんとなく有り難く感ずる、というのが正直なところです。
    文学にも酒にも造詣が深い酒坊さんの事、既にご存知かも知れませんね。
    文学にしろ酒にしろ、独自の世界を持ち、それを興の赴くままに多彩な言葉で語る、羨ましい限りです。

  3. 小松小結 さん

    昨日は横浜で川柳勉強会があり、熱燗をたらふく呑んで参りました。
    酒は酒器によって味が良くなる、と思います。
    貴兄のように「マイおちょこ」を酒家に置いていたことはありませんが、備前のぐい呑みを持参して呑んでいた時期はあります。
    このぐい呑みはヒビが入っても接着剤で止めて使っていたほどの愛着がありました。後は奈良に遊びに行ったときに求めた「秋篠焼」をしばらく使っていました。うす緑色の何とも言えぬ上品さが、上品な酒には合いました。
    今は面倒なので、大ぶりの益子焼の湯のみをレンジで熱燗です。
    小結さんに思い起こしていただいたので、所有の酒器を「四季酩酊」にアップしてみようと思いました。

  4. 早速の101回はスタートに相応しい酒坊さん得意中の得意分野、趣味と実益を兼ねたお酒に関するもので蘊蓄もここまで来ると学問の範疇で見事ですね。
    私も現役時代は転勤先でせっせとお酒を飲んだ割には「北の誉」「手取川」「立山」などしか思い出しません。列記されている中で飲んだのは久保田、菊水、八海山に最近で獺祭です。
    ただ私の場合は銘柄や味を嗜むと言うより〈酒は器で飲ます〉の言葉を安請け合いして、行きつけの酒家ではマイ(おちょこ)マイ(盃)置きおきしていました。また旅先や蚤の市等では徳利におちょこ、ぐい呑み等を買い求め毎晩酌の酒のお伴にし又、升やコップそれにワイングラスにも入れて飲むのも乙なものでした。
    処が定年後の大病の為上記の酒器を利用する事が無く処分の憂き目にあいました、今は社友会等での懇親の場で、のみの飲みです。

    ◎「友と酒は古きほど良し」◎「目の前の酒は必ず飲んでおけ、次も飲めると限らないのだから」◎「酒を飲むのは時間の無駄、飲まない人は人生の無駄」

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