第1ブロック第18回イベント「環状7号線地下広域調整池(石神井川区間)工事」現場見学会報告

 中野区野方5丁目地内を流れる妙正寺川と環七通りが交差するところに内径26mにも及ぶ巨大な立坑がありました。そこから50mほど下にもぐると、内径12.5mの貯留用トンネルが出現。見学者一同から驚きの声が上がりました。“個人では行きにくいところの見学ができる”とのお声を頂いている第1ブロックのイベントですが、今回は東京都が治水対策整備事業として進めている環状七号線道路の地下空間を利用した調節池工事の現場を見学しました。

・実施日    2025年7月25日(金)
・参加者数   16名
・天 候    晴れ

■延々と続く貯水用地下トンネルを歩く

 現役時代を思い起こすような朝の通勤時間帯に西武新宿線「野方駅」に集合し、元気に揃って徒歩5分ほどの工事ヤードに向かった。駅前商店街を抜けると、ほどなく妙正寺川の取水口となる立坑が完成している工事ヤードに到着。付近一帯は工事関係事務所や作業所、大型クレーンなどが集まっていた。

 説明会場のある事務所に着くと、解説を頂く東京都第三建設事務所の星野様をはじめ多くのスタッフの方々から出迎えを頂いた。着席するとすぐに「東京都の治水対策整備事業について」の紹介ビデオを視聴。所定の説明が終わると、全員ヘルメットをかぶり小型スピーカーを携帯して作業ヤード内に出た。ヤードスペースは、妙正寺川上に鉄板を張り巡って作った場所とのことで、周りが住宅街のため作業スペースの確保には苦悩したようだ。

いよいよ見学会が始まった。
最初に通路脇に掲示されている写真や図入りの壁面パネルの説明を受けた後、近くにある大きな収納庫のような建屋に入った。そこには、トンネル先端で掘削機「シールドマシン」から削り取られた土砂を泥水にして地上に引出し、これを土砂と水に分離し再利用するプラントが設置されていた。また、シールドマシンに欠かせない「カッタービット」と呼ばれる先端の歯の交換作業を実施しているとのことで、撤去されたビットが置かれていた。ビットは特殊な金属で作られていて製造元も限られていると云う

環七地下広域調整池の概要図
・今回の見学先は、現在工事中の下図赤色部分のうち、環七と妙正寺川との交差点にある
 発進立坑から地下50m下に降りて、地下貯留トンネルを約500m先まで見学した。
 赤色区間の完成は令和9年ごろとなっている。
・図中の上下グレー部分はすでに整備済みで運用されているので、赤色の部分が完成す
 ると総延長13.1Km、貯水量約143万立方メートルとなり、(25mプールにし
 て約4800杯分)国内最大の地下調整池となります。
・流域間にまたがる広域調整池により、時間100mm程度までの豪雨対策として大きな
 効果が発揮されます。

 次は地下に降りる工事用エレベータ前に移動。巨大な立坑に沿って「ガタゴトガタゴト~」と音を立てながらの工事用エレベータで地下30mのところに降りた。立坑の上下を覗くと、まさに“工事現場”の真っただ中にいる光景。少し離れた所から再び工事用エレベータに乗って20mほど更に降下。降り立ったところは地下約50m付近だ。そこには今まで見たことのない内径12.5mの巨大な地下トンネルが輝いていた。思いのほか明るい照明が施されていたので、遠い遠い先までずうっ~と見通せた。その光景が目に入った瞬間、皆さんから“うわっ~”という声。延々約5.4Kmにわたる石神井区間と称するトンネル式地下調節池のスタート地点である。現在1.4Km先まで進行していると云うが、この区間がすべて完成すると、整備済みの練馬区を流れる白子川地下調節池(目白通り地下)と、反対方向の杉並区堀之内を流れる善福寺川、神田川地下調節池(環七地下)とも連結され、5つの河川にまたがる総延長13.1Kmに及ぶ超巨大な地下調節地が整い、各河川の氾濫防止効果がより発揮されると期待されている。

 しばらくこの場で周囲を見渡した後、トンネルに沿って敷設されている歩行路用鉄板の上をスピーカー音に耳を傾けながら歩き始めた。周囲は思いのほか熱苦しさはなくスムーズに移動出来た。またトンネルの向こう側には、直径50C,m位のピカピカの配管パイプが延々と続いていた。これはシールドマシンで削り取られた土砂を運ぶパイプであった。また、上部には先端に新鮮な外気を送っている直径1mのパイプもあった。先端の掘削機(シールドマシン)の特徴・機能などの説明を受けながらトンネル内をどんどん進んでいく。所々に各種建設機材や電気駆動のトロッコなどが置かれている。周囲は内径12.5mの空洞を支えるコンクリートの壁面(合成セグメント)が次々とつながっている。どのように取り付けられるのか、その方法・内部構造・ジョイント技術、そしてトンネル急曲線部の対応など、先進的な土木技術によって建設されていると云うリアルな現場を目の当たりにした。

 また、途中のコンクリート壁面には小池都知事や関係自治体の方々、そして施工関係者などが記した記念サインも埋め込まれていた。更に進んでいくと「ここは環七通り下」、「西武新宿線野方駅下」などの掲示板があり、そこを通る時はやはり地上の様子を思い浮かべてしまう。こうして周りを見聞きしながら足を進めて行くと、入口から約500m達した地点に着いた。ここが今回の折り返し地点となる。付近には作業員の移動用自転車数台が用意されていて、作業現場はまだまだ先だと感じさせられた。トンネルはこの先もずうっと見渡せ、掘削現場らしき光景は全く見えなかった。ここで全員揃っての記念写真を撮り帰路についた。
※現在、シールドマシンのカッタービットを交換中で、堀進作業は中断しているとのこと。

 冷房が効いた事務所に戻ると暑さが吹き飛んだ。一息ついた後、シールドマシンが掘削しながらトンネルの壁面を構築する「シールド工法」の仕組みやコンクリート壁を構築する「合成セグメント」などについての解説ビデオを視聴。特に合成セグメントは、貯留トンネルということで通常のトンネルで使うセメントとは異なり、内側に入った水の圧力にも耐えられるよう鋼材とコンクリートが一体となった強固ものであることが理解できた。


 最後のQ&Aでは、参加者から次々と技術面や環境影響面などの質問により盛り上がり、予定時間をかなりオーバーして終了した。今回の見学をリードして頂いた星野様から、「我々の仕事は地下で行っているため、人目にはつかない。知られていない。皆さんに見学頂くことで周りに広めて欲しい」との言葉が印象に残った。また、これまで地盤問題や環境問題について無事故を続けているというお話もお聞きし、拍手を送ってこの場を後にした。

東京都第三建設事務所の皆様、ありがとうございました。

「林 芙美子記念館」を訪ねる

 現場見学会の後は、西武新宿線中井駅からほど近い「林 芙美子記念館」を訪ねた。駅を出て少々歩き始めると、こんもりと茂った一角が見え、近づくと「林芙美子記念館」の大きな案内板が出ている。「放浪記」で知られる作家・林芙美子が格別の思いを入れて建てた住いで、今は新宿区の見学施設となっている。昭和16年(1941)8月から昭和26年(1951)6月28日にその生涯が閉じるまで住んでいた。

 到着した後、2グループに分かれて説明員に従いながら各々の部屋を見聞して廻った。家屋は二棟あり、作家活動に使用したところと自分の生活空間とに分けられていて、部屋毎に特徴ある造りが施されていた。新居を建てる前に建築専門家を交えて京都寺社や民家を見学したり、深川などに行って自ら材木を調べたりするなどして建築について深く勉強していたとのことで、その知識が京都風の和風建築に生かされ、樹木が林立した周りの庭と相まって、新宿区落合の場であることを忘れさせてくれる静けさと昭和の雰囲気があった。

 二つの家屋を廻ったところで、喉の渇きも空腹も覚えて来た。急ぎ足で昼食会予定先に向かった。お店に着くと、さっそく乾いた喉を潤し、そして昼食をとりながら暫し談笑した。

「今日は貴重な体験ができた。これからも期待する」との有難いお言葉も頂いた。

ご参加頂いた皆さま、お疲れ様でした。

文章作成    広田 彰夫
写真撮影    込山 廣明
        大塚 正敏
        柿本 政昭

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください