四季酩酊 第61回
酒坊
中年女性や老女ではない若い女面が欲しかった。小面・小姫・万媚・孫次郎・増女のどれでもよかった。
戦争の騒乱のさなか、中世の日本文学に目覚め、静謐な愛と美を追求し滅びの文学を成し得た立原正秋に傾倒した時期がある。彼の本は売らずに残してある。初期の作品「薪能」に打たれた私は、鎌倉宮で行われる鎌倉薪能を観た。抽選なので何十通も出した記憶がある。演目も忘れたが、篝火と虫の音の中で演ずる能を堪能した。このとき、妖しく動く女面を欲しいと思った。
電電公社(現・NTT)の機関誌「あけぼの」に、「ロマンの散歩道」という、小説の舞台を歩くという新しい企画で、社外の私に依頼が来たとき、立原の「薪能」を提示した。ロマンの散歩道は、3段組み・6ページで93年7月に発表された。
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たまたま、Yahoo!のオークションを見ていた。ふと、能面に当たった。途端に昔が蘇り欲しくなった。私は衣服とか料理には割と吝嗇であるが、趣味になると金の価値を見失う癖があり、よく妻に怒られる。勿論妻には内緒でオークションに参加したが、入札終了間近にひっくり返され、何度も失敗したので遅くまで起きていて、数分前に最高高値を更新して落札した。
9月4日、孫次郎が我が家に来た。写真の通りの傑作で、風情の妖しさに虜になってしまうかも知れない。夜が怖い。
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孫次郎は、金剛流四代の太夫孫次郎が亡き美しい妻を偲んで打った面で、裏面に「ヲモカゲ」とある。能曲は「源氏供養」「熊野(ゆや)」「班女」などに使われる。私が鎌倉薪能で見たのは、熊野かも知れない。
高い買い物とは思わないが、壁に掛けて眺めていたいものだが、妻にすぐばれる。夕方帰宅する妻に白状しなければならない。「また、無駄な物買って!」と言われるだろう。難儀なことだ。
小結さんへ。
妻の操縦さえ満足にできないのにドローンの操縦なんて、変なところに落ちてお縄頂戴になってしまいます。小結さんが会長になって、「ドローン同好会」を発足させては如何でしょうか。
お宝を公開することは個人情報を公開することであり、窃盗を受ける可能性がありますので検討させてください。
昔からの良いものを鑑賞すると「侘び」と「寂び」を感じます、日本人の心に存在するのでしょうか?
能面も舞と一体になって「侘び寂び」が感じると思います。来年のお正月には近くの神社
で披露される「能」をじっくり見物さしてもらおうと決めました。孫次郎は登場してくれますよね。
小結さん
コメントありがとうございます。孫次郎の演目だといいですね。ぞくぞくしますよ。
多趣味多芸の酒坊さんに期待項目があります?なんでしょうか?
SEKのOBなので今話題の「ドローン」操縦ーーー社友会の(東京支部)の第一号となりませんか、是非ご検討下さい半分期待しています。
又貴殿のお宝ーーーー刀・焼酎瓶・ボトル各種・蔵書等々を公開されては如何でしょうか、 こちらは即可能でしょうと勝手に思っています。
以上宜しくご検討下さい。
酒坊さんの多芸多趣味ぶりにはいつも驚かされますが、ネットオークションにまで乗り出すとなると・・・。奥さんの苦笑い?が見えるようです。
成井さんコメントありがとうございます。日本刀の「善定兼吉」を告白した時は、高価だったので四苦八苦しましたが、今回は、居酒屋で呑むくらいと過少申告し、許してもらいました。孫次郎の姿の良さで納得したのかも知れません。