能面、孫次郎を手に入れる

四季酩酊 第61回

                                                                                  酒坊

中年女性や老女ではない若い女面が欲しかった。小面・小姫・万媚・孫次郎・増女のどれでもよかった。

戦争の騒乱のさなか、中世の日本文学に目覚め、静謐な愛と美を追求し滅びの文学を成し得た立原正秋に傾倒した時期がある。彼の本は売らずに残してある。初期の作品「薪能」に打たれた私は、鎌倉宮で行われる鎌倉薪能を観た。抽選なので何十通も出した記憶がある。演目も忘れたが、篝火と虫の音の中で演ずる能を堪能した。このとき、妖しく動く女面を欲しいと思った。 続きを読む 能面、孫次郎を手に入れる →

続・酷暑の子育て観察記

遊閑通信②

遊閑子

我が家のベランダでカワラヒワの子育てが始まって約1か月、3羽の子供たちが順調に育っていよいよ巣立ちの時が来た。 

8月23日、餌を運んできた親鳥がすぐには巣に入らない。待ちきれない子供たちが巣の縁に上がって親を呼ぶがなかなか餌をもらえない。巣立ちを前にした親たちのそんな行動が見えたので、いざ巣立ちと観察を強化していたが、目を離したわずかな間に2羽が居なくなった。待ち構えている私たちの目をあえて避けるように・・・。残った1羽も同じように翌日巣立っていった。  続きを読む 続・酷暑の子育て観察記 →

酷暑の子育て観察記

遊閑通信①

遊閑子

猛暑日が8日も続く記録的な暑さの中で、カワラヒワ夫婦の子育てが始まった。

カワラヒワはスズメくらいの大きさの野鳥で、多摩川の水辺に近い我が家の近辺でもおなじみだが、まさか我がマンションのペランダで子育てとは…。暑さしのぎで閉じこもっている私たち夫婦にとって思いがけないプレゼントとなった。 続きを読む 酷暑の子育て観察記 →

芥川賞と又吉直樹

四季酩酊 第60回

酒坊

 芥川龍之介

久し振りに芥川賞の話題で沸いている。今までに線香花火くらいの話題はあったが、19歳の綿矢りさ「蹴りたい背中」と20歳の金原ひとみ「蛇にピアス」の最年少コンビが受賞した2004年以来の大花火である。吉本のお笑いコンビ「ピース・又吉直樹」の怪(・)進撃である。何しろ、7月30日までの発行部数が169万部(受賞式に備え更に40万部増刷と8/4のニュースにあった)という驚異的な数字だ。それまでは、村上龍の「限りなく透明に近いブルー」が131万部である。(その後の単行本を合わせると367万部になっている) 続きを読む 芥川賞と又吉直樹 →